米国出版社紹介


最近数多くの日本のマンガが英語に翻訳され、米国で出版されています。その数は本当に膨大でラインナップを見るだけでもあんなものやこんなものが、という感じに楽しむことが出来ます。

そしてそれを輸入、翻訳等を行う出版会社が米国には数社存在し、シノギを削っています。

今回はこの出版社をいくつか紹介したいと思います。現状は上位3社がほぼ市場を独占していて、その他数社が細々と出版している、というこんな感じ。

私が所有している各社のマンガも一緒に写真掲載しておきました。参考になれば幸いです。









VIZ

(ビズ)

シェア60%

主な出版物NARUTOデスノート犬夜叉
ドラゴンボール鋼の錬金術師るろうに剣心
エヴァンゲリオンらんま1/2名探偵コナン
武装錬金ブリーチ結界師
MONSTERバガボンド火の鳥
NANA桜蘭高校ホスト部花より男子


集英社(ジャンプ系)と小学館(サンデー系)の作品を主に扱っているVIZ社。シェアがダントツである。我が家での占拠率もハンパない。

私見ではあるが世界に広まっている三大現役マンガは「犬夜叉」「NARUTO」「ハガレン」であると思う。それらの英語版を全てここが扱っているのだからもうバケモノとしか言いようがない。一ツ橋連合恐るべし。

今後も独走態勢が続くかと思われる。だが問題点を挙げるとすれば、やはり出版数がいくらなんでも多すぎなのではないかと思う。英語マンガは1冊10ドルもする。(これでも市場競争で安くなったほうだ)こんな書物をお子様の財布でもって数十冊も揃えるのは正直厳しすぎる。日本の子供がてんとう虫コミックスを買い揃えるのとはワケが違うのだ。

購買層の増加が今後の目標となるだろう。








TOKYOPOP

(トウキョウポップ)

シェア20%

主な出版物藍より青しフルーツバスケット苺ましまろ
ケロロ軍曹ラブひな頭文字D
まほろまてぃっくRAVEドラゴンヘッド
CCさくらキングダムハーツこみっくパーティー


講談社(マガジン)系を多く取り扱っている老舗出版社。一時期VIZを抜いてシェアトップだった事もある。現在はシェア20%で業界2位だが、なぜかウチには2冊しかなく全く人気がない(-_-;

フルーツバスケット」が主力商品、かなり売れているらしい。「キングダムハーツ」も好調。最近はADVMANGAの尻拭いも買って出ているようだ。(※下方参照)

かつて寄生獣を出版するときに絵を反転させて「ミギー」の名称を「ヒダリー(Lefty)」に変えたというエピソードが有名。

ただ最近はどうも日本マンガにはあまり積極的ではないように思える(少なくとも米国内では)。主力のマガジン系とCLAMP作品は最近はTOKYOPOPではなくデルレイ(※下方参照)が出版をしているし、韓国産のマンガを出したりアメリカ人作家を起用したりと多様性を重視しているように思える。

戦略もいろいろだ。








Del Rey

(デルレイ)

シェア10%

主な出版物のだめカンタービレネギま
スクールランブルげんしけん
TSUBASAエアギア
ガンダムSeedDestiny電車男


シェア第3位のデルレイ社。最近は講談社系が多く出版内容はTOKYOPOPに似ているところがかなりある。

ネギま」や「スクールランブル」が好調。

また小文字使用に積極的である。通常、マンガのセリフは大文字が使われているが、このデルレイ社の出版するマンガは全てではないがいくつかの作品は小文字を使用している。

わたしは「のだめ」しか持っていないが翻訳がところどころマズいところがある。有名なところでは「合コン」を「aikon」としていたり「ハリセン」を「puffer fish(ハリセンボン)」としているところだ。日本人は編集に参加していないのだろうか。





■■■■■ シェア的に超えられないっぽい壁 ■■■■■






ADV MANGA

(エーディーブイマンガ)

シェア数%

主な出版物あずまんが大王よつばと!
クロノクルセイドガンスリンガーガール
ARIAフルメタルパニック
Tactics魁!!クロマティ高校


あずまんが大王が所属している我らのADVマンガ。正直困った出版社である。

ADVの本職がアニメ部門なのでこのマンガ部門はオマケのようなものである。アニメを出す傍らで同じマンガを出して相乗効果を狙う、こういう関係だ。だから基本的に同社がDVDで出した作品しかマンガを取り扱わない。

そして見切りが早い。売れないと判断したものは容赦なく出版を止めてしまう。現在「よつばと!」「ガンスリンガーガール」「ARIA」は全て3巻で、「Tactics」は2巻でストップしている。「クロノクルセイド」も現在でこそ全巻出版されているが途中でかなりの小休止があった。

この行為ははっきり言って評判が悪すぎる。「Tactics」はTOKYOPOPが版権を買い取って1巻から出しなおす事が決定され、「ARIA」もどうやらそのようになりそうだ。

よつばと!」4巻以降はいつになったら出るのやら…。








Dark Horse

(ダークホース)

一冊も持ってないです
シェア数%

主な出版物トライガンヘルシング
ベルセルク首斬り朝
EDEN鉄腕アトム
ああっ、女神さま攻殻機動隊


妙な出版物が一部のコアなファンを魅了させるダークホース社。もともとアメコミ専門だったのでそのような出版物が多い。「シグルイ」が出るとしたらここからしかないだろう。

なぜだか分からないが濃いめのサムライマンガ「首斬り朝」が一時期大人気となりちょっとした話題となった。最近は同系列の「半蔵の門」がよく売れている。米市場はよくわからん。

そして場違い感のある「ああっ、女神さま」。なんでこんなところに在籍してるんだろう。








Dr Master

(ドクターマスター)

一冊も持ってないです
シェア数%

主な出版物クレヨンしんちゃん宇宙のステルヴィア
女子高生月姫
鉄鍋のジャンラーゼフォン


双葉社系と秋田書店系(チャンピオン)を取り扱うドクターマスター社。正直弱小感は否めない。

主力はなんだろう。やはり「クレしん」なのだろうか。私がちょっと気になっている韓国マンガ「NOW 儺雨(ナウ)」の英語版もここが取り扱っている。

そして最近目立って来ているのが角川系。「おねがいティーチャー」「トリコロ」、そして「月姫」などだ。どこかで見たラインナップだなあと思ったらタイの出版会社negiboseとここらへんがソックリだ。

今後も角川系の出版が期待されるこのドクターマスター社。半死のADVの代わりに頑張ってほしいところだ。








RAIJIN COMICS

(ライジンコミックス)

一冊も持ってないです
シェア − %

主な出版物スラムダンクシティハンター
北斗の拳蒼天の拳
グラップラー刃牙まもって守護月天


2002年の話である。コミックバンチで有名なコアミックスは米マンガ市場に参入、米国版少年ジャンプたる「ライジンコミックス」を刊行する。

主な出版物を見ていただきたい。さすがバンチの出版社、そうそうたるメンバーである。これらの月間連載をする傍らで単行本も続々と出版。しかし売れ行きに問題があったのだろう、1年ほどで撤退を決定する。

ライジンコミックスは休刊となってしまったのだ。

悲惨なのは残されたこれらの単行本である。しっかりと「米進出失敗」の烙印を押されてしまったのだ。5巻で休止となった「スラムダンク」はこれ以後米市場では続刊が現れる事なく現在に至っている。紀伊国屋で売っている英語版スラムダンクがシンガポール製なのはそのためだ。井上雄彦氏の公式サイトには「海外でこれだけ出版してますよー」的なリストがあるが、このライジンコミックス版は全く載っていない。超黒歴史である。

そしてここにも場違いなマンガが1冊見受けられるのも見逃せない。こんなラインナップでどうして「守護月天」をチョイスできるんだろうか。これを決定した時の会議はさぞ荒れた事であろう。






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