Mustの過去形について


さて、mustの過去形についてだがまずは時制のお話を。



現在形

I do it.
(私はそれをやる)


現在形です。まあ特に問題はないと思います。


過去形

I did it.
(私はそれをやった)


現在形の文章の助動詞(または動詞)を過去形にすると時制が一歩下がります。


下で説明しますが「助動詞(または動詞)」とはリーダーの事です。


現在完了形

I have done it.
(私はそれをしてきた、など)


現在形の文章に助動詞haveをぶっこむと時制が半歩下がります。


dodoneに変化しているのはまあ、話せば長くなりますが助動詞があるともはや動詞は動詞としては生きていけないからなんですね。


さて、1英文には必ずリーダーが1人います。誰がリーダーなのかというとそれは動詞です。例えば「I play piano.」のリーダーはplayです。そしてリーダー以外が動詞になることは許されません。

我が物顔で君臨していたリーダーのplayですが、あるとき動詞likeが加入してきました。そして事件が発生しました。野心家のlikeがリーダーの地位をplayから奪ってしまったのです。なんという天下人よ。

リーダーの地位を追われるという事はそれはすなわち動詞としての地位も失ってしまうという事なのです。かわいそうなplay、彼はもう動詞として生きていくことはできません。なんとかして別の生き残りの道を模索しなければなりません。そこで彼は何を行ったのかと言うと頭にtoをつけ始めたのです(これを不定詞といいます)。こうすることで彼は動詞ではなくなり、この場合は名詞へとジョブチェンジします。動詞ではなくなった彼は文内で生き残ることを許される事となりました。
I like to play piano.

争いに負けた者が姿を変えることによって生き残る。これは野生の王国もびっくりの素晴らしい処世術です。動名詞(~ing)に変化して生き残るというパターンもあります。ともかくリーダーでなくなった以上動詞のままでは命が危ういのです。
I like playing piano.

さて、そんなリーダー争いですがなんとこの戦いには助動詞も参戦してきます。そしてこの場合は必ず助動詞が勝ちます。助動詞がリーダーになるとどうなるのか。実は文から動詞が消えてしまうのです。

例えば「I play piano.」にwillが加入するとリーダーはwillに替わりplayはリーダーと動詞の地位を失います。その場合どうなるか。playplayという原形不定詞にジョブチェンジします。見た目は変わりませんねえ…、ですが彼はもはや動詞ではありません。例えば彼が過去形になることも彼に三単現のSが付くことももうありません。動詞だったあの頃の目の輝きはもうありません…。ですが完全に死んだわけではありません。いくつかの機能は健在です。一番大きいのは目的語(piano)がついたままという事。戦い敗れたこの男に愛想をつかずについてきてくれるなんて泣かせる話じゃないの。まあそれはそれとして彼の敗退によりこの文中には動詞はすっかり無くなってしまいました。
I will play piano.

さあ、かなり長くなりましたが今回の件に移ります。

I do it.」にhaveが加入してきました。当然助動詞であるhaveが1ラウンドKO勝ちです。敗れたdoは動詞からジョブチェンジしなければなりません。これで説明は十分でしょう。それがdoneという過去分詞への変化なのです。分詞は動詞ではないのでこれでOKです。この文にもやはり動詞は見当たりません。
I have done it.

haveに地位を奪われた場合の動詞は必ず「過去分詞に変化をする」というこの方法で生き残りを選択します。それに助動詞haveは過去分詞なしでは生きていけません。双方に利益のある解決法だと言えます。

ともかくみなさん生き残りに必死ですので逃げ道もいろいろです。不定詞、原形不定詞、現在分詞、過去分詞などさまざま。リーダー争いに敗れ、動詞としての地位を追われた負け犬ども哀れな元動詞たち。彼らを「準動詞」と呼びます。

dodoneになる理由はつまりはこういう事です。ちなみにリーダーには時制を管理する責任、疑問文の際に先頭に立つ責任、そして否定かどうかを表明する責任があります。但し全ての仕事をそつなくこなせるリーダーはそう滅多にいません。


過去完了形

I had done it.
(その時私はそれをやっていた、など)


半歩下がって一歩下がる、すなわち両方行うと時制は1.5歩下がります。





She must really need the money.


以上を踏まえてShe must really need the money.を過去形にしてみましょう。

「彼女は本当にお金を必要としているに違いない」を「彼女は本当にお金を必要としていたに違いない」にするのです。

現在形を過去形にする。すなわち時制を一歩下げればいいのですからリーダーであるmustを過去形にすればOKです。

mustの過去形は…うーん、なんでしょう。実はmustには過去形は存在しません。


:mustには過去形がありませんが過去形にしたい場合はどうすればよいでしょう。
調整中


などと遊戯王のネタを振ってもどうしようもありません。ないものやれというのは不可能です。一休さんだって「これは出来ない」と言うはずです。

この八方ふさがりの状況にウンザリしたまわりの名詞などはグチりだします。「ウチのリーダーって使えなくね?」

リーダーには時制を管理する責任があるのですが、ほとんどの助動詞はとにかくこの時間の管理がヘタクソです。喧嘩は強いが脳みそ少ない。もう典型的です。

そこでどうなったのかと言うと英語の神様が裁定に現れ新たなルールを設けたのです。

こういう場合は半歩下げなさい。それで一歩下がったものとみなします

こうして問題は解決されました。つまりmustの入った文章は一歩下げる事は不可能なので半歩下げる、すなわちhaveをぶっこみ、そして動詞(っていうかこの場合は原形不定詞か)を過去分詞に変える。 こうする事によりこの文章は過去形であるとみなされるのです。

She must have really needed the money.
(彼女は本当にお金を必要としていたに違いない)


このみなしルールは助動詞全般でよく使われます。絶対に覚えておきましょう。








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